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既存事業の延長ではない新しい価値の創造を -CMCOSが切り拓く新規事業の未来-

公開日:2025/11/12

エナメディア編集部

エナメディア編集部

建築業界における新規事業は、社会課題と直結しながらも実現のハードルが高いとされています。

そんな中、2022年度に始動した新規事業「CMCOS(コムコス)」は、起案者自らがプログラミングを学び、プロトタイプを開発し、脱炭素という社会的テーマに挑むというユニークな取り組みから生まれました。制度運営を担った重田さんと、プロジェクトリーダーとして実際にアイデアを形にした加藤さん。

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お二人に、事業立ち上げの背景や試行錯誤、そして今後の展望について語っていただきました。

まずはお二人の役割について教えてください。

重田様;

役割分担としては、加藤がCMCOSの起案者でありプロジェクトリーダーです。
私はこの事業が始まった当初は事務局として伴走支援をしていましたが、現在はCMCOSが事業化するまでの制度運営を管理する立場で関わっています。
社内で制度をどう機能させるか、仕組み全体を整える役割を担っています。

加藤様;

私は2年前にイノベーション推進部に異動して以来、CMCOSの事業化を担当しています。
単にアイデアを出すだけでなく、具体的な計画を立てて実現に向けて進めていく立場です。

この新規事業を立ち上げるに至った経緯を教えてください。

重田様;

2021年度から当社では、10年間の長期経営計画の中で新規事業を戦略事業として成長させることを大きなミッションに掲げています。
その一環として社内で「MOON SHOT CONTEST」という、社内の新規事業アイデアコンテストを開催してきましたが、それだけではなく、デジタル分野に特化した取り組みも行いたいと考えていました。
そこで2022年度に始めた取り組みが社内講座「InFiNiTO Club」です。
これはデジタルハリウッド株式会社様が運営する、起業家・エンジニア養成スクール「G’s ACADEMY」と提携し、プログラミング技術を学びながら新規事業創出を目指す社内向けプログラミング講座を6ヶ月間受講し、実際に新規事業アイデアを提案する試みでした。

プログラミングを学びながら事業アイデアを出すというのは大変そうですが?

加藤様;

私は元々建設業界に身を置く中で、脱炭素というテーマには強い関心がありました。
プログラミングを学びながら試行錯誤していく過程で、ゼネコンだからこそできる新しい取り組みを考えたいと思っていました。
最初は技術的な壁も多かったのですが、学んだ知識を事業にどう結びつけるかを考えるうちに、アイデアが具体的に形になっていきました。

実際に事業化に進めていく段階では、どのような苦労がありましたか。

重田様;

一番大きかったのは、事業フェーズを一段上にあげていくためのタイミングの見極めです。
実際には何度か事業化に向けたスケジュールを引き直し、延期してきた経緯があります。
「このまま状況が変わらないのであれば事業検討をストップすべきではないか」や「社内向けツール以上に発展しないのではないか」といった議論が社内で起きていました。
そこで諦めてしまう起案者もいるかもしれませんが、加藤が踏ん張って頑張る姿を見てきました。
なぜ今のフェーズを継続するのか、その理由を明確にして社内を納得させる必要があり、何度も壁を乗り越える過程がありました。
私自身も加藤の執念を感じましたし、正直なところ相当苦しかったと思います。

加藤様;

重田が申し上げる通りです。
私にとって一番ダメージが大きかったのもそこ(事業フェーズを一段上にあげていくためのタイミングの見極め)です。
自分の中では「きっと多くの人が使ってくれるはずだ」と想像していましたが、実際にヒアリングすると「最初にログインして使って以降、使用していない」という意見を直接聞くことがあり、そのたびに心が折れそうになりました。
システムそのものを作る過程も確かに大変でしたが、むしろ楽しかった部分もあります。
限られた時間の中で宿題が次々と出て、設計するのは大変でしたが、自分の思い描いたものが形になっていくのはモチベーションにつながりました。
しかし、自分自身が作ったシステムが世間に受け入れられない、といった事実を知った時は非常に苦しかった瞬間でした。

そのような中で、エナジャイズとの取り組みはどのように作用しましたか?

重田様;

新規事業アイデアが、顧客課題仮説、それに対する解決先であるソリューションの価値仮説が一定構築出来たタイミングで、それを顧客にアプローチしニーズ検証していく作業が必要になります。
ただ、我々の場合はシステム開発を伴うフェーズだったため、社内リソースだけでは限界がありました。
そこで出会ったのがエナジャイズです。
エナジャイズは新規事業に精通しており、我々が悩んでいた「顧客にどうアプローチし、どう声を拾うか」という点をしっかり理解してくれました。
彼らは痛みを伴う営業活動に寄り添い、活動そのものをまるごと引き受けてくれました。
その姿勢に救われましたし、非常に大きな支援になりました。

加藤様;

私にとって大きかったのは「お客さんと直接話すこと」の重要性を体感できたことです。
これまでの部署では直接顧客と向き合う機会が少なく、リアルな声を聞く経験はほとんどありませんでした。
しかし事業検討を進める段階で、生のお客さんから「無料公開中だから使っている」と言われることもありました。
耳が痛い言葉ですが、それを真正面から受け止めることで、自分の価値観が大きく変わったのです。
相手の立場に立ってメリットを提示する発想に切り替えなければならないと強く感じました。
まさに意識改革そのものでした。

重田様;

加藤が申し上げる通りで、既存事業の考え方をそのまま持ち込んでも新規事業は前に進みません。
既存の延長線上ではなく、新しい価値をどう届けるかを考え続ける必要があります。
エナジャイズは、その点でも我々の事業を丁寧に解像度高く理解し、顧客の声をデータとして残してくれました。
結果として、事業が社会にどう広がる可能性を持つのかを具体的に描けるようになったのは大きな成果でした。
そしてもう一つ学んだのは、「そんなにうまくいく事業なんてない」という現実です。
ただし、だからといって諦める必要はありません。
未解決の課題や、潜在するニーズに対して、事業アイデアのブラシュアップ次第で、突破口となり得るチャンスは必ずある。
その考え方を得られたことが、この取り組みを通しての最大の収穫でした。
新規事業は一度で成功するものではなく、長い目で育てていくものだと改めて認識しました。
結果的に、エナジャイズとの取り組みは非常に満足のいくものとなりました。

最後に、今後の展望についてお聞かせください。

加藤様;

今はまだ小さなプロジェクトですが、将来的には全国の建物設計で活用されるような仕組みにしていきたいです。
脱炭素というテーマは社会的に避けられない課題であり、ゼネコンとしても取り組む意義が大きい。
スケールを広げる中で新しい技術やパートナーとの連携も積極的に進め、社会に対して価値を提供できる事業に育てたいと思っています。

重田様;

私としては、この事例をひとつのモデルにして、社内で新規事業に挑戦する人がさらに増えていくことを期待しています。
挑戦する人が現れれば、制度はそれを支える方向に進化していく。
CMCOSが成功事例になれば、次の新しい事業が自然に生まれるはずです。
その循環をつくることが目標です。


※「CMCOS\コムコス」は東急建設の登録商標(登録第 6788780 号)です。

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株式会社エナジャイズ代表取締役岡崎 史

プロフィール 大学卒業後、大手飲料グループを経て、40事業を超える新規事業の立ち上げを経験。その経験を活かし、2022年、PMFと顧客開拓を同時に実現する『PMFプログラム』を開発。
徹底的に顧客視点に立つ独自の手法で、年間2,000社の新規商談を生み出すなど新規事業推進のスペシャリスト。
大企業を中心に伴走支援、研修、講演等実績多数。

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事業をスケール可能な状態に導きます。

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